文章の書き方を教えない日本の学校

 

こんにちは! 編集者の野本です。

最近、文章を見て欲しいと言われる機会が増えました。

えーと……。日本語を書くのは難しいです。

私、20年編集者やってますが、
今だに書いた原稿は毎回真っ赤に添削されます。

一字一句辞書を引き、丹念に言葉を調べていく
プロの校閲者には頭が上がりません。

日本の学校では簡潔な文章を書く訓練をしない

最近思うのは、日本の学校は書く方法は教えない、ということ。

大学を出たばかりの方の文章は、総じて読みにくいのです。

それもそのはず。
文系では、受験勉強で難解な長文を山ほど読みますが、
わかりやすい文章の書き方は指導されません。

受験の国語で出てくる文章は、
文意をつかむのにすら骨が折れる難問ばかり。

人は読んだものに影響されるため、
複雑な言い回しが身についてしまうんでしょう。
アクの強い作家のような語彙で文章を書く方もいます。

しかし社会に出ると、必要なのは文芸作品ではなく実用文。
突然、わかりやすく簡潔な文章を書け、と言われてしまうのです。

ライターに必要なのは「文章力」より「情熱」

私が始めて月刊誌に入って驚いたのは二つ。

一つは「わかりやすく書け」と言われること。
ある編集長は
「初心者にわかるよう噛み砕け」
「女性週刊誌を目指せ」
が口癖でした。
「こりゃ常識でしょう……」というような言葉にも徹底的に赤を入れます。

この指摘が鋭い。編集長に「野本さん、これどういう意味?」と聞かれ、
説明したものの、しどろもどろになることも多々。
結局、自分でもあやふやなまま書いてるとバレるのです。

もう一つは、文章力はなくてもライターになれるということ。
作家と言われる先生でも、「てにをは」のレベルで日本語がおかしい人もいました。

でもね、それでオッケーなんです。
文章は編集者・デスク・編集長・校閲部で何度も直します。
ライターに重要なのは文章のうまさではなく、
「情熱」「知識」「経験」なんですね。

紙媒体は、レイアウトに合わせて文章を削ります。
「俺の書いた文章は完璧だから削るな」と言われると大変です。
作家さんは別ですけどね。

だから、ライター専門学校を出たような専業ライターさんより、
カメラ設計してた人、
プログラマーだった人、
カメラオタクで何でも知ってる人
なんかが活躍してました。
もちろん、中には知識と経験と文章力を兼ね備えたすごい人もいましたけれども。

結局、情熱のない人が知識を寄せ集めたところで、
それはノイズでしかないのです。

学校では情熱の伴わない文章を書く訓練をする

ところが、学校教育で書かせるのは、
まさにこの情熱の伴わない文章なんですね。

「運動会の感想を書いてください」と課題が出ます。
正直に「運動会がつまらなかった」と書けば
「ふざけないでちゃんと書いて」などと怒られたりします。

そこで仕方なく「みんなで力を合わせて頑張って感動しました」とか、
心にもないことを書くことになる。

しかも「原稿用紙5枚」などと指定され、
「言いたいことはないけど、長さだけはある」文章を書く訓練をしちゃうんですよね……。
これ、政治家の答弁や校長先生の訓話みたいなもので、読んでも何も残りません。

「運動会はつまんなかった」という作文は許されるか?

興味のないこと、知らないことを調べもせずに無理に書いて、
他人の心を動かすのは難しいです。
結局、無駄なコンテンツを増やし、他人の時間を無駄にすることになります。

本当に伝えたくないことは、いっそのこと、書くべきではない、
と教えたほうがいいのかもしれませんねー。

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