最近、Twitterなどで不登校について悩んでいる事の文章を読むたびに、ずいぶん遠くに来てしまったなぁと思います。
もう8年も前のこと、我が家もちょうど小1の2学期の後半から登校しぶりに困っていました。
毎晩毎晩、寝るために泣き出す息子を見ながら、途方にくれたことを覚えています。ご飯を食べ終わっても、なかなか靴下をはこうとせず、学校に遅れるよ!と声をかけてどんどん緊張感が高まっていく。
毎日校門まで引きずるように連れて行き、先生に泣きじゃくる子供を引き渡す時、ほっとしたのと同時に罪悪感があったことをよく覚えています。
これで良いのだろうか? と。
今だと、なんでそこまで必死だったのだろう?と不思議な気持ちがしますが、当時はこのままでは大変なことになると言う気持ちにつき動かされていました。
不登校になってしまう、どうしよう、と。
学校の先生は、どんなに嫌がっても学校に連れてきてください。その後の事は私たちがなんとかします、と。
私はその通りにしていましたが、今思うとなぜあそこまで学校にこだわっていたのかわかりません。
今思えば、私たち親子がマレーシアにいく大冒険の始まりになったのだけれど、「不登校」を不幸に思わなくていいと思うんです。
目次
- 学校に合わない人もいる
- 学校に行かなくても学べる時代
- 子供が学校に戻りたいというとき
- 日本の子供も、選択ができるようになる時代が来る
そもそも学校に合わない人もいる
不登校の原因はさまざまです。解決方法は子供によって違います。
だから、みんなが海外に来ればいいという話でもない。
ただ今子供がティーンエイジャーになって思うことは、「学校システムには全く合っていない人」もいるのだということ。
子供は普通に育てたい、自分のように普通に公立の学校に行ってほしいと言う身勝手な思いがありました。学校以外に学びの場所があるということを無知で知らなかった。
これは残念ながら、日本の外に出ないとよく見えてこなかった視点です。
日本の大きな特徴は、価値観の多様性が非常に少ないと言うことです。
息子は日本の学校どころか、マレーシアの学校でも、時間が無駄になるのがいやだと言い出し、1人で勉強する道を選びました。
今、彼を見ている先生は、「マレーシアには彼に合う学校はない」と断言しています。そういえば、日本の保育園の園長先生も同じこと言っていました。私は当時そのことを軽く考えていたようです。実は経験の多い大人が見るといろんなことがわかるようです。
親と言うものは、視野がとても狭いので、そこに気がつけないのです。
学校に行かなくても学べる時代
息子は学校と言うシステムにはあまり合わなかったけれど、学びそのものは大好きです。ネットの教材を使って勝手に自習しています。
今では大学との共同研究にも関わらせていただいており、とても楽しいと。今はアメリカとシンガポールの大学を先生たちから強く勧められています。
学校を辞めてインターナショナルスクールに入りさらにその学校も辞めて今思うことは、学校は便利なパッケージだけれども、全てではないってこと。
マレーシアなどではすでにこの感覚は広く共有されてます。日本の外に出てみると見える世界、だいぶ変わってしまうのです。
今、不登校でお悩みの方は、一旦日本式システムから少し外に出てみることも一つの手です。いきなりインターナショナル・スクールはハードルが高いですが、例えば、マレーシアにあるコタキナバルの日本人学校は短期の体験入学を受け付けてくれます。母子留学も歓迎していますし、ビザも出ますから、少し環境を変えてみたい、という方にはお勧めです。
子供が学校に戻りたいというとき
ティーンエイジャーになって、大きな試験が終わった後、大学に行く前に、息子はもう一度普通の学校にトライしてみたい、と言い出しました。そして、もう勉強をはじめ、英国式の中等教育卒業試験を受け、中学卒業資格を取りました。
今は、学校に戻り、インターナショナル・バカロレアのディプロマコースで、学んでいます。
最初の学校に無理矢理通うことを強制していたら、彼の好奇心はしぼみ、何かをやってみたい意欲もすっかり失われてしまっていたかもしれない、とちょっと怖く思うこともあります。
もちろん、また失敗するかもしれません。
こうしてトライアンドエラーを繰り返すことで、自分の生きる道を少しずつ見つけていっています。本来、学生時代とはこうあったほうがいいな、と。
自分が少人数に合うのか大人数に合うのか、日本が生きやすいのか、海外が生きやすいのか。スポーツなのか、音楽なのか、美術なのか、学問なのか。試してみて失敗してまたやり直す、こうした環境があることが子供の成長には非常に重要だと考えるようになりました。
日本の子供も、選択ができるようになる時代が来る
そして同じように、日本や学校の教育システムには合っていないけれども、実は学びそのものには大変興味がある、と言うお子さんもいるのではないでしょうか。
じつは日本の自治体にも広島など、このような形に動き出しているところがあります。つまり、そのうち、日本人の子供も自分の生き方を少しずつだけれども選べる時代がやってくる。こういう生き方を選べる子供たちが現れたとき、社会の閉塞感は相当少なくなっていくのではないでしょうか。
ではまた。
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マレーシアにきてからの経緯など、ここに詳しく書いてます。よければどうぞ。日本人は「やめる練習」がたりてない (集英社新書)amzn.toAmazon.co.jpで購入する