「やめる」を続けていると学歴や職歴ができないのでは? に答えました

ご質問にお応えします。

質問

マレーシアではハッピーでは無ければすぐに辞めているということなのですが、一方で学歴や職歴も大事にされている社会かと思います。(私の記憶違いかもしれませんが・・)私自身かなり日本的な思考が染みついてしまっているので、ハッピーではないと思ってすぐに辞めてしまっていたら色んなことが長続きせず学歴や職歴もできないのでは?と考えてしまうのですが、そのバランスはどのように取られているのでしょうか。

学歴はけっこうみられます

まず、学歴についてです。

実は海外では学歴は重要です。

学歴が無いと、専門知識が無いとみなされ、雇ってもらえないこともあります。私はマーケティングで雇ってもらっていましたが、新卒スタッフはほぼ「マーケティング学科卒業」でした。

4大卒よりは院卒の方が評価され、「博士号」は尊敬されるイメージです。例えば、マハティール前首相は博士号を持っていたので、今もメディアで「Dr.M」と呼ばれます。

マレーシアの公立学校や英国式では、中学以降で、選択科目(英国式では70科目以上)から選びます。たとえば、コンピュータ・サイエンスでは簡単なプログラミングができないとなりませんし、会計やビジネスなど実践的な課題もあります。「自分は何に向いているのか」いやでも向き合います。 また、この時点で「自分は学業には向かない」とドロップアウトする人もいます。 そのため、日本ほど大卒者が多くないです。

どうやって転職するのか

一つ日本と違うことは、起業をゴールに考えている人の方が多いことです。「最終的にずっとサラリーマンでいたい」人は少数派ですし、サラリーマンを羨ましい人は少ないと思います。 そもそも、他人が転職しようが起業しようが無職になろうが、それを話題にすることは(私の周囲では)少ないです。

それでもサラリーマン的に働いている人をみてみます。

私の友人の例。彼女の専門は「会計」。以前はオーストラリア系の会計事務所にいましたが、パンデミックで失職し、今は米国系の事務所に移りました。

別の知人は、学校のアドミン(受付)です。最初の学校から数えると、もう3つ目の職場にいます。

やめるときは前職の経験を生かすケースが多いと思います。

一方、キャリアチェンジをする人もいます。

学歴が必要なキャリアに行く場合(例、会計や人事などは学歴が必要なことも多いです)一旦社会に出てから、学歴を取るために大学に戻ったり、働きながら通信制で学位を取る人もいます。大学名や会社の名前はあまりみられません。

別の知人は、銀行員から、資格を取得してジムのトレーナーになりました。ちなみに銀行員の給与は決して高くありません。

「ジョブ型」の採用とはどんなもの?

日本では、「一括採用」があるので、会社に入ると、あちらこちらの部署を転々とし、「専門」は問われないことが多いと思います。

マレーシアでは、「ジョブ型」雇用。ジョブ型雇用では、「ジョブ・ディスクリプション」で具体的な仕事内容が決まっています。

例えば、私がいた企業のソーシャルメディア・マネージャーはこんな感じです。

タスクと責任

・ウェブ、SEO / SEM、メールマーケティング、ソーシャルメディア、ディスプレイ広告キャンペーンを計画して実行する

・ソーシャルメディアを設計、構築、維持する

・すべてのデジタルマーケティングキャンペーンのパフォーマンスを測定および報告し、目標(ROIおよびKPI)に対して評価します。

・傾向と洞察を特定し、洞察に基づいて支出とパフォーマンスを最適化します ・新しく創造的な成長戦略をブレインストーミングする

・内部チームと協力して、ランディングページを作成し、ユーザーエクスペリエンスを最適化します

・Google Ads Word、Facebook Ads、MailChimp、Instagram広告などの経験が必要です。

ですので、単なる「歴」というより、「どんな技術を持っているか」が見られます。

なので、「・・大学の教養学部を出ました」「英語ができます」だけだと、ジョブ・ディスクリプションに合致する仕事は難しいと思います。

日本のように、人事部の人が会計部に転部したり、法務部の人が営業になったりするケースはほぼないのでは? と思います(私は見たことがない)。

また、ジョブ・ディスクリプションに合致するキャリアがあれば、転職回数は問われないです。日本と違って「1つの会社への忠誠心」を大事にする文化はあまりないと思います。

日本も今後はこの「ジョブ型」に移行すると言われていますから、多分似たようになっていくのでは? と思います。