子育ては海外でした方がいいのか? とお悩みの方へ

海外移住

子供を海外に出した方がいいいのか? 
日本語だけだと厳しいですか?

こんな質問を受けることが増えました。
日本は社会保障が増え続け、出口が見えづらくなっているーーそんな論調がマスコミでもみられます。

「少子高齢化で、日本はこれからどんどん厳しくなる」

実は、2000年代頃からずっと言われてきたことです。
当時のシンガポール元首相リー・クアン・ユーさんや投資家のジム・ロジャーズさん。
「若い日本人は日本をでよ」と警告していました。

そんな論調を読みつつ、私は10年ほど前に海外に出てきました。

驚きました。

海外の教育とビジネス環境を体験すると、日本で思ったのと全然違いました。

そして最初の質問へのお答えは、

「出ても出なくても生きていける」
「けれども一度は親自身が海外を見た方がいい」
です。

理由を説明します。

ローカルとグローバルは両輪で回ってる

日本もこれから「ローカルで生きていく人」と「グローバルで生きていく人」に二分されていくと思います。

日本語だけでも大丈夫な人は残ります。
でも、日本を売るにも、海外を知る人が必要なのです。

日本の観光客って何であんなに増えたと思いますか?

政府が「観光立国」を挙げて各地で宣伝したからです。
現場では、日本は韓国・台湾などと熾烈な「観光客の取り合い」競争を繰り広げているのです。

マレーシアでは毎年、数万人が集まる旅行博があります。

日本ブースは隣の台湾や韓国ブースと競いあって、イベントやお土産で「どうか日本に来てください!」と呼び込んでるんです。地道にビラ配りとかして、必死に日本を宣伝しています。

マレーシアでは日本旅行が盛んすぎて、「ゴールデンルート(関西・富士山・関東)はもう飽きた」と言われているので、次の手を考えないといけないのです。

商品も同じです。昨年、日本の農産物の輸出が大幅に増えました。やっぱり海外で「これはどうやって食べるのか」を説明し、ローカルの好みに合わせてパッケージする人が必要です。

つまり、海外で宣伝する人・国内でサービス提供する人、両方必要なのです。

パンデミックではコンテナ不足や日本の港が「抜港」(飛ばされてしまう)現象が問題となりましたが、こういったボトルネックも解消する必要があります。

協力しないといけないのです。

実はグローバルの時代だからこそ、ローカルの価値は高まります。

美味しい日本食を作れるとか、日本ならではの伝統芸能をやっている人ーーそういう人がいないと、日本に人を呼べません。ですから、こういう人の価値は上がっていきます。

しかし、これらを売るには、日本語だけで宣伝しててもダメなのです。
海外の人にどうやったら受け入れられるか、考える人材もまた必要です。

閉じこもって「日本流」でやっても日本のモノは売れません。同じアジアでもそう。

やり方が全然違うから。

今までは日本国内で売っていればよかったものが、人口減によりそうもいかなくなってきています。つまりローカルとはいえ、もはやグローバルと無縁ではなりません。

日本に残る人が注意すべきは社会コストの増大

そんなわけで、私はずっと「日本でずっと生きていくのもあり」と言ってます。

あと問題は社会コストの増大に耐えられるか、です。

コスト増大のためにも、日本の物を売らないと、日本の国そのものが沈んでしまいます。

この数年で、パンデミックやオリンピックなどで負債が増大しています。

「どうせ困るのは将来の日本人だから」返せない借金を膨張させる日本の末路 誰も「返済方法」を考えていない
新型コロナウイルスの蔓延に伴う経済対策で、いわゆる「国の借金」が急増している。財務省が四半期ごとに発表している「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」によると、2020年末に1212兆4680億円と初めて1200…

財務省が四半期ごとに発表している「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」によると、2020年末に1212兆4680億円と初めて1200兆円を突破した。財務省はこれまでも「国の借金が最高を更新している」と警鐘を鳴らしてきたが、新型コロナ発生以降の増加率はこれまでとは水準が違う。

インフレが福音になれば良いです。

が、うまくいかない場合は、外国でも生きていくようにオプションを持つといいと思います。

しかし、そのオプションの厳しさもあります。

親が世界戦の厳しさを知っておくことが重要に

製造業は、全世界を視野に入れないと厳しくなりつつあります。

グローバル企業の頭脳として働けばいいのでは? と思われるかもしれません。
けれども、こちらはすでに世界大会の様相。ローカルを売るためのグローバルーーはできても、実は本当の意味での「グローバル企業」で、いわゆる「ゴールドカラー」として生きていくのは楽ではないのです。各国からとてつもなく優秀な人が集まって働いています。

何より、グローバル企業で本当に稼げるのはトップ数パーセントの人と言われています。製造業やサービスの現場の人の給与は高くありません。置き換えができるからです。この「置き換えができない」数%に入るのは厳しい。


私が住むマレーシアでは、数カ国語を話すのは当たり前です。が、数カ国語に流暢でも、世界戦を戦えるのは一部です。必要なのは、仕組みを作り、多国籍の人をマネジメントできるスキル・社会に合わせて常に学び続けるスキルーーだったりします。

「いい大学に入れば終わり」の世界じゃないんですね。

マレーシアに来た日本の子は、ほぼ例外なく英語の壁に苦しみます。
体感としては、小学校4年生くらいで英検準1級くらいでしょうか。

IT化により、ホワイトカラーの仕事が減っています。英語が「ちょっとできる」程度の日本人は、下手するとお荷物になってしまいます。

まずは親自身が、世界で何が起きているのかを知ることをお勧めします。日本のメディアから離れ、一度海外に出て外国語を学ぶことで、「現実」がはじめて見えます。

私が書いているのは私の目や経験値というフィルターを通しています。一度は誰のフィルターも通さずに、自分の目で何が起きているのかを知っておく。

そこで初めてスタートラインに立てる。

そんなわけで、私は一度海外に出ること、おすすめしたいと思います。